2017年6月11日日曜日

T・K 君へ:白内障手術のこと (To T. K.: About My Cataract Surgery)

[The main text of this post is in Japanese only.]


和文写真説明は本文を参照されたい。
Flowers of clematis in my yard; taken on May 3, 2017.

T・K 君

 梅雨の候となりましたが、お元気でお過ごしでしょうか。先月は素早いご返信をいただき、ありがとうございました。

  上掲の写真は、右に見える貴君から貰ったモミジの木と、左のレンギョウの木との両方につるを這わせたテッセンが、一度に 14 輪(他の花の影にほとんど隠れている花も入れて)の花を咲かせた、わが家では珍しい光景です。先月初めに 2 階の窓から撮りました。今月に入ってからまた、9 輪の花が咲きましたが、どの花もやや小ぶりで、花弁も斑入りのようになり、これほど見事な写真は撮れませんでした。

 さて、貴君も白内障の疑いがあるとのこと、いずれ手術をされる時のために、私の経験をお知らせします。

 一昨年の 12 月に、そろそろ白内障になっていないかと思い、近くの眼科医で検診を受けました。すると、左目がもう手術をしてもよい状況だといわれました。ただし、強度近視なので、手術するならメガネの関係で、両目を同時にするべきだということでした。気候のよい 4 月にでも手術を受けようと思っていたところ、妻が黄斑上膜(網膜前膜または黄斑前膜とも呼ばれます)という網膜上の老化による病気(J・M 君が先日手術をすると書いて来たのと同じもの)の手術を急ぐことになり、昨年 4 月には妻がその手術と、ついでに、あまり進んでいなかった白内障の手術も受けましたので、私は今年に延ばした次第です。

  手術前の私の目の状況は、左目で見たときは、右目で見たときよりも全体にやや薄暗く、メガネの度も合わなくなって来ている、という感じでした。今年3月に、手術する病院への紹介状を貰うため、再度近くの眼科医へ行くと、右目も左目に追いつくぐらいに白内障が進んで来ているといわれました。

 手術は妻も私も、眼科の充実していることで全国的にも有名な大阪労災病院(堺市内にあります)で受けました。私の場合、2 週間の間をおいて、左、右の順で、それぞれ一泊入院での手術でした。

 手術室前での準備時間を入れて、病室を出てから病室へ戻るまでが 30 分ほどで、正味の手術時間は、自分では時計を見ていませんが、5 分程度ということでした。局部麻酔は、目薬のように麻酔薬を垂らすので、その際の痛みもなく、手術中は多少圧力のようなものを感じることはありましたが、痛みは全くありませんでした。病室へ戻ってから 1 時間はベッドで安静にしていることが必要でしたが、あとは起き上がって動くことも出来ました。翌朝には手術した目のカバーも外され、すぐに視力の改善したことが実感出来ます(視力の回復の速さには個人差があるということですが)。朝食後に診察があって、退院となりました。

 手術で結晶体に替えて挿入する眼内レンズには、単焦点、多焦点などのものがありますが、健康保険が適用されるのは単焦点レンズだけで、また、これで十分だと思います。単焦点にも、近、中、遠焦点のものがあるそうですが、手術担当医は私に、これまでの生活と大きな差が出ないようにと、近焦点の中でも焦点距離 30 cm のものを勧めて、「読書に最適です」といってくれました。私が「パソコンもよく使います」というと、「では、50 cm にしましょう」といってくれました。結果的には、これで大変よかったと思っています。

 目下、裸眼の視力は、0.2 ないし 0.3(左右で少し異なり、また術後の日数によっても少し変わります)ですが、矯正視力は両目とも1.2です(定年退職後間もない頃に近眼鏡を更新した際には、1.0 が出なかったと思います)。そのうちに遠くを見るためのメガネを作る予定ですが、外出時にも、遠くの文字を読もうとしたり、遠くから来る人の顔を認識しようとしたりしなければ、メガネなしでもそれほど不自由はなさそうです。屋内生活では、32 インチ・テレビ画面の小さめの文字を見る必要のある時に、1.5 m 程度までは近づかなければならないのが不便といえば不便なだけで、メガネは全く不要といえます。

 読書も楽になりましたが、長年の癖で、かけてもいないメガネを触ろうとしたり、顔を洗うときなどに外そうとしたりする仕草から抜けきれないのが、われながら滑稽です。

 白内障手術を済ませた人が視野が明るくなったというのを聞き、手術前には、私は視野がまだそれほど暗くなっていないから、そういう感じはしないだろうと思っていました。しかし、確かに、術後は周囲がずいぶん明るくなりました。そして、白いものが純白に見えるさまは、「何年もクリーニングに出していない薄汚れたカーテンも真っ白に見える」と冗談をいっているほどです。

 そのほか、明るい青色と、黄色とが鮮やかに見えるようになりました。色感がこれまでと異なるのは、眼内レンズの特性だろうかとも思いました。しかし、インターネットで調べてみると、モネが 1900 年(60 歳)に描いた「睡蓮の庭」と、白内障に苦しんでいた 1923 年(83 歳)に同じ場所を描いた「ジベルニーの日本風歩道橋」を載せて、「モネの絵のタッチが年とともに変化してきた原因は、…中略…青系の波長の短い光が混濁した水晶体を通らなくなったために、網膜に到達する光が赤・黄系の色だけになり、全体に黄色味がかった色になったから」と説明しているページがありました。手術によって本来の見え方に戻ると、青色が目立つように感じることがこれで分かります。

 術後に黄色が鮮やかに見えるのも、「全体に黄色味がかった色」に見えていた原因が除かれれば、本来黄色い部分が術前よりも際立ってくるということでしょう。鏡で見る自分の顔や、インターネットのブログ、ツイッター、フェイスブックなどの自分のページに載せている顔写真の中の黄色が目立ってきて、なるほど、日本人は黄色人種だ、とも思わされています。

 長女はモネの絵と白内障の話を知っていて、私の絵がどう変わるか楽しみだといっていましたが、私の白内障はモネの場合ほどに進んでいなかったので、絵の特徴が変わりはしないでしょう。軽い白内障の手術では、色感が変わったといっても、描く対象と絵の具の色が同様に少しだけ変わるのですから、同じ風景を描いた時の着彩は、手術前後で同じになるはずです。

 以上、多少なりともご参考になれば幸いです。

 2017年6月8日

 T・T



 ブログ記事への注:「モネの絵のタッチが年とともに変化してきた原因は、…」という説明は、東京逓信病院の「白内障ではどのように見える?」というウェブページによる。なお、モネの絵における白内障の影響については、次の英文ウェブページにも記述が見られる。

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